日本でも徐々に進むデジタル化ですが、
そんな中において「CXOレター」に注目が集まっています。

なぜ今、手紙を使った営業活動や施策を取り入れる企業が増えているのでしょうか。

 

本記事では、CXOレターのメリットをはじめ、効果を高めるポイントやCXOレター作成の手順などを紹介・解説します。手紙に盛り込む具体的な内容や例文も紹介するので参考にしながら、さらに売上や収益をあげるための方法の一つとして積極的にCXOレターを取り入れてみましょう。

 

企業の特別職に就く人物へと送付する手紙

「CXOレター」とは、製品やサービスを企画・販売などしている企業が主に新規開拓のため、ときに既存顧客との関係維持を目的として送付する手紙のことです。もしくは、その手紙を活用した営業施策を指す場合もあります。

営業施策を指すケースでは「手紙営業」と呼ばれることも多いでしょう。

「CXO」は「Chief X Officer」の略です。

「Chief」は組織の責任者を、
「X」は業務や機能を、
「Officer」は執行役を表し、

「CXO」はつまり、それぞれの業務や機能における組織の責任者を指していることになります。

「CEO(最高経営責任者)」や「CFO(最高執行責任者)」という略語は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

このように「X」にさまざまな業務や機能を当てはめることで、特定の役職を表すことが可能です。

ここから「CXOレター」は相手企業の特別な役職に就いている人物に対して送付する手紙であることがわかるでしょう。

 

印刷DMとの違い

企業に対する営業施策の一つに、DM(ダイレクトメール)があります。

DMを送付する場合は主に印刷物を利用することが多いのではないでしょうか。

 

CXOレターとの大きな違いは、まずこの点にあります。CXOレターの多くは手書きで作成されますが、DMは印刷で作成されるのが一般的です。また、CXOレターは、そのほとんどが特定の人物に対しオリジナルの文章によって作成されますが、印刷DMは同じ内容・デザインのものを複数の企業宛てに送付します。

 

印刷DMと比較して、大量作成が難しい点も大きな違いの一つです。

 

こうしたそれぞれの特徴をまとめると「特別感のあるCXOレター」と、特別感を見出しづらい印刷DMという違いがみえてくるのではないでしょうか。この違いは非常に大きく、営業活動の結果や効果にも影響をもたらすことは間違いありません。

 

気持ちや思いが伝わりやすい

手紙文化が少しずつ廃れているとはいえ、直接手紙を受け取って嫌な思いをする人は多くはありません。

手紙を受け取った人の大半は、少なくとも送り主が強い思いと覚悟で手紙を送ってきていると感じるのではないでしょうか。

特に、大手企業の重役という立場にある人であれば、送り主の気持ちを慮ろうとするでしょう。

若い経営者なども増えてはいるものの、未だ日本の多くの企業、とりわけ大手企業で決定権や決裁権を持つ立場の人は一定以上の年齢の人が多く、手紙文化に触れ育ってきた経験を持っています。

それが、このような要因を生み出しているのです。

 

相手への配慮にも繋がる

営業活動の一環として企業に対し何かしらのアプローチをすると、多かれ少なかれ貴重な時間を割いてもらわなければなりません。それは電話でも飛び込み営業でも印刷DMでも、そして、CXOレターでも同様です。しかし、手紙や印刷DMは、電話や飛び込み営業と比較すると、相手の時間をこちら側の都合で奪ってしまうことにはなりづらいでしょう。時間があるときに目を通してもらえればよいからです。

 

企業の決定権や決裁権を持つ立場の人の多くには窓口となる秘書などがいますが、CXOレターであれば、そうした人たちも含めて手間や時間をとらせないという配慮ができます。少しでも相手に対し失礼のない手段として用いるのに手紙営業は最適なのです。

 

幹部や役員などのキーマンに直接アプローチできる

説明したように、CXOとは企業の重要な役割を担う人物を指しています。そのような人に直接手紙を送れるのがCXOレターの最大の特徴であり強みです。幹部や役員、あるいは社長や代表といった強い権限を持つ人物へのアプローチには、非常に高い営業効率を期待できるでしょう。

 

企業のトップなどのキーマンと、各部署の担当者が同じ感覚や価値観を持っているとは限りません。商品の購入や契約に関する決定権者の意見や反応をみられる点は手紙営業の大きなメリットとなります。また、企業のキーマンにダイレクトに働きかけることで、営業のプロセスを簡略化できるメリットもあります。興味を示してもらえれば面談のアポイントメントも取りやすくなり、営業活動におけるすべての過程をスピーディーに進められるでしょう。

 

人脈を築く前でも確実に届けられる

通常、企業のトップやそれに近い重役と面談することは容易ではありません。関係性がまったくない企業であれば尚更です。しかし、CXOレターを上手に活用することで、人脈を築く前でも自社を認識してもらえるチャンスを生み出せます。印刷されたDMでもなくメールでもない、手書きの手紙が届いて無視する重役は少数です。

 

深い興味を示してもらえるかは別として、少なくとも自社や商品の存在は確実に伝えられるでしょう。よい商品を企画・販売していても、それを認知してもらわなければ購入や契約してもらうには至りません。顔見知りでもなく仲介者がいるわけでもない企業のキーマンに、自社の存在を確実に届けられる唯一の手段が手紙営業であるといっても過言ではないのです。

 

よい印象を持ってもらえる可能性が高まる

企業のキーマンにダイレクトに届けることができ自社の存在を知ってもらえるとともに、よい印象を与えられる可能性が高まる点もCXOレターのメリットであり重要な効果です。

手紙の内容や構成、文字などにより印象は変わりますが、丁寧かつ適切な手紙が作成できれば、自社に対してポジティブなイメージを持ってもらえるのではないでしょうか。

良質なCXOレターは、送付先の企業に「熱意が感じられる」「自社のことを理解している」「人間力の高さを感じる」などの感情を抱いてもらえる武器となり得ます。

特に、相手が情に厚く人間同士の関わりを大事にする人であればあるほど、手紙の送付によりよい印象を持ってもらえる可能性が高まるでしょう。

 

その他の営業方法との差別化が図れる

営業施策にはCXOレターのほか、印刷DM、メールや電話、飛び込みなどさまざまな方法が考えられます。それぞれに一長一短はあるものの、手紙ほど気持ちが伝わりやすく、確実に自社を認識してもらえる方法はありません。印刷DMとの違いはすでに触れていますが、営業メールは毎日大量に届く他のメールなどと一見しただけでは区別がつきづらく、読んでもらえる可能性は手紙と比較すると非常に低いでしょう。

 

飛び込み営業では、そもそも各部署の担当者との面談が限度であり、規模や価格の大きな商品の購入・契約に関する決定権や決裁権を持った企業のトップクラスたちにはコンタクトできません。電話も同様に、企業のキーマンと繋いでもらえる可能性は限りなく低いのではないでしょうか。

 

他の方法がセールスに特化しやすいのと比べ、CXOレターは個別の挨拶や関係性を重要視している点なども効果的に伝えられます。製品やサービスの質などがよくても、あからさまな営業の仕掛けには距離を置きたくなるものです。

 

そうしたネガティブな印象を他の営業方法よりも与えづらく、人間同士の繋がりにフォーカスしている点こそCXOレターの大きな特徴であり、営業手法として取り入れるメリットとなります。特に、重要度の高い企業へのアプローチには、他の方法との差別化が図りやすいCXOレターを積極的に活用すべきでしょう。

 

既存顧客のリピート率を高められる

新規開拓だけではなく、既存の顧客やすでに面談済みの顧客に対してもCXOレターは活用可能です。感謝の気持ちや新たな商品の紹介などを手紙という媒体を利用し適切なタイミングで送ることで、既存顧客のリピート率や次回の面談・交渉への発展の可能性を高められるでしょう。

 

他の営業方法よりも気持ちや人間同士の繋がりをアピールできる手紙営業だからこそのメリット及び効果といえます。特に、契約商品など継続性が重要なサービスを取り扱っている企業や、アップセル・クロスセルが見込める商品を提供している企業は、既存顧客にも積極的にCXOレターを送るべきです。

 

関係性を維持しやすくなり、企業の売上・収益アップに大きく貢献してくれるのではないでしょうか。